TREATMENT
ひざの痛みに対する再生医療(PRP療法)
辛いひざの痛みの改善が期待できる新たな選択肢
近年、健康寿命の増加や健康意識の向上に伴い、PRP療法などの再生医療により、より健康で活動的な人生を楽しみたいというニーズが高まっています。当院ではそのような方に対して先進的な医療を広く提供したいと考えております。
本治療は『再生医療等の安全性の確保等に関する法律』に則り、第二種再生医療等、第三種再生医療等として再生医療等提供計画の認可を得て、定期的に厚生労働省へ治療報告を行っています
・自家多血小板血漿(Platelet-rich plasma:PRP)を用いた慢性関節炎の治療(関節内組織)
・自家多血小板血漿(Platelet-rich plasma:PRP)を用いた筋肉、腱、靭帯、筋膜の損傷及び慢性炎症の治療(関節外の軟部組織)
ひざの痛みに悩まれている患者さんへ
こんな症状はありませんか?
変形性ひざ関節症とは?
最近、立ち上がる時にひざが痛む、階段の上り下りでひざが痛む、水がたまる、ひざが痛くて旅行やスポーツもあきらめてあまり出かけなくなってしまった。これらの自覚がある方は、変形性ひざ関節症の可能性があります。
変形性ひざ関節症はひざの痛みの原因になる最も一般的な病気で、年齢とともに病気は進行していき、軟骨がすり減ったり、骨のトゲを形成したりすることによって、つらい痛みを引き起こします。痛みによって運動が億劫になり、ひざを支える筋肉が痩せていくため、これまでできていた運動ができなくなるだけでなく、さらに軟骨のすり減りを引き起こし、病気の進行が早まります。軟骨は一度すり減ると元に戻りません。つまり、早期の治療が大切です。
これまでの変形性ひざ関節症の治療
通常、手術をしない治療は関節を支える筋肉を鍛える運動療法と肥満の改善が中心ですが、
痛みを伴う場合には 痛み止め薬の処方やステロイド注射による関節炎のコントロールや
ヒアルロン酸注射による膝のクッション性の補填による痛みの一時的な緩和を行います。これらの方法が無効となった場合は手術が選択肢になります。
それにもかかわらず、国内で約1000万人に上るとされている変形性ひざ関節症の自覚症状のある方の中で整形外科で人工関節や骨切り術といった手術治療を受けられる方は、年間約10万人(約1%)しかいません。今まではこれだけ手術を希望しない患者さんがいたにもかかわらず、代替となる治療がなかったというのが現実でした。
そこで、近年注目されているのがPRP療法です。
PRP(多血小板血漿)とは
患者さんの血液を使い自己治癒力高め、切らずに痛みを改善
PRP療法の特徴
PRPはこんな患者さんに選ばれています。
転んでひざを擦りむいたりして出血しても、かさぶたになって自然に止まり、しばらくすれば傷も治ります。この自然治癒は血小板という血液成分が主に作用して起こるものです。血小板は傷がある部分に集まって、成長因子を放出します。成長因子とは組織の修復を促し、痛みの原因である炎症を抑えます。
PRP(日本語では多血小板血漿)は、患者さんの血液を加工して抽出した血小板やその他の有効成分の複合的な働きにより自己治癒力を高め、痛みや炎症の改善を後押しする治療法です。
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超音波診断装置を使った確実な注射
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レントゲンやMRIで見つけにくい病変の診断
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病変部への確実で効果の高い注射
レントゲンやMRIで見つけにくい小さな病変部を超音波画像診断装置下で正確に捉え、そこにPRPを正確に患部に注射します。超音波画像診断装置を使用した治療はそうでない治療より、正確で、治療効果が高いと言われています。
当院の再生医療(PRP療法)の特徴
2.PRP療法のスペシャリスト医師によるオーダーメイド治療
PRP療法に関して国内有数の経験症例を持つ医師がこれまでの経験と合わせて、PRPの成分毎の使い分けや量、投与回数、他治療との併用など患者さんの病態に合った適切なPRP療法を実施致します。
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注射は必ずエコーガイド下に行い、貴重なPRPを漏れなく患部に投与
3.リハビリテーションの提供
PRP療法の効果を最大限に引き出し、効果を持続させるためにはリハビリテーションが重要と言われています。当院ではPRP療法後のリハビリテーションの体制も同施設内に充実しています。やりっぱなしの治療にしないをモットーに経験、技術力で、痛み解消や目的のレベルの運動能力まで徹底的にサポートします。
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PRP後のリハビリテーションも責任をもって実施
PRP療法の流れ
1
診察(保険診療)
現在の症状、過去の治療歴を伺います。
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必要に応じてMRIやレントゲン、血液検査 を行う場合があります。
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治療の適応があると判断した場合、治療の注意点をご説明します。
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患者さんが普段服用している薬には血小板の機能を阻害するものが含まれていることがあります。服用中の薬がある場合には診察中に相談ください。
※治療経過や症状によっては、PRP療法よりも先に検討した方が良い治療方法をご案内する場合があります。
3
採血・治療(保険適応外診療)
受付を済ませ、同意書を確認後、採血を行います。PRPの調整の間5~30分程度お待ちいただきます。調整完了後、PRPを注射します。
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病気やケガの状態や場所により、目的とするPRPの濃度を変更するため、採血量を調整します。
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エコーガイド下に患部を観察しながら、局所麻酔を希望に応じて実施し、その後、正確に患部へPRPを注入します。
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損傷した腱や靭帯のような緻密結合組織の場合、圧をかけて注入するため激痛を伴うことがあります。
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治療後は10分程度安静にしていただき、問題なければそのまま歩いてご帰宅いただけます。
2
PRP予約とインフォームドコンセント・同意書の説明
治療について説明と同意後、予約を行います。
※ステロイドやNSAIDs(ロキソニンやボルタレン)を使用している方は注射実施前、Wash Out期間(1〜2週間)が必要(吸引薬や外用も含む)
1.ACP-PRP療法
国内で承認された専用の医療機器を使って、少量(15ml)の血液から短時間で黄色く純度の高いPRPを精製します。国内外で広く利用されており、治療に用いる医療機器を使った複数の信頼性の高い試験の結果が権威のある医学雑誌に投稿されており、高い安全性と治療効果を確認できます。また、コストも相対的に安価に提供できるため、PRP療法をお試ししたい方への最初の選択肢~治療を気に入って何度も受けたい方へ幅広くご紹介しています。
当院の再生医療(PRP療法)内容
2.カスタムメイドPRP療法
最新の医学的知見に基づき、患者さんの状態毎に最適と考えられるPRPの濃度や成分の割合を調整します。少ない治療回数でより効果の高い治療を望む患者さんにお勧めしている治療になります。海外文献では比較的症状の進行した患者さんにも使用されています。
PRPは使用する医療機器や調整方法により、含有される成分の構成が変化します。当院では、PRPの経験豊富な医師が選んだ3つの治療方法を提供しています。患者さんのひざの状態に応じて、これらの治療を単体または複合的に使用することをご提案させていただく場合がございます。
当院は、安全に細胞を加工が行える基準を満たす施設として、細胞培養加工施設として厚生労働省から認可を受けております。
治療期間及び回数
標準的な治療期間:3~6ヶ月
標準的な治療回数:1~3回
1〜3回のPRP療法を終了後、約3ヶ月後、6ヶ月後に、症状や日常生活レベルの改善、レントゲン写真や超音波画像やMRI検査所見がどのように変化したかを評価します。
治療後の注意点
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PRP投与後30分もすると、成長因子の放出が始まるため、早い方で30分後より患部に疼痛などの症状が出現します。
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治療後3~4日間は、細胞の活発な代謝が起こる炎症期のため、痛みや腫れを生じることがありますが、徐々に軽減していきます。
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注射直後は疼痛のために、稀に歩行困難な方もいらっしゃいますが、通常アイシングなどを行い10〜15分程度休憩すれば、徒歩で帰宅可能です。
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投与前後の疼痛に関しては、PRPによる治癒過程をブロックしてしまうため、消炎鎮痛剤に使用できるものと使用できないものがございますので、担当医に確認ください。
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日常生活動作は注射当日から可能です。
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リハビリについては、翌日から疼痛に応じて可能です。ただ、患部に直接刺激が加わる様な鍼や体外衝撃波療法は、PRP後1週間経過するまでは控えて下さい。
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PRP療法を受けた患者様の個人を匿名化し、症状や画像の治療経過など分析を行い、学会や医学雑誌で報告することで、将来、より良いPRP療法を提供できるよう努めたいと思います。どうぞ、ご理解ご協力をよろしくお願い致します。
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詳細は診察時に担当医にお問合せください。
リスク副作用
PRP の原料には、患者様ご自身の血液を用います。他人の組織を移植する場合に用いる免疫抑制剤を使うことがないため、免疫抑制剤による副作用の心配はありませんが、採血のために静脈内に注射針を刺す行為が必要です。採血量は 13.5mL から最大で 154mL ですので、通常の献血量の 200mL、あるいは 400mL に比べて少量であり、比較的安全性の高い処置だと考えられますが、ごく稀に以下の表に示す合併症 (手術や検査などの後、それがもとになって起こることがある症状) の報告があります。また、PRP 治療に関連した偶発症 (稀に起こる不都合な症状) や合併症も考えられます。これらの合併症が起きた場合には最善の処置を行います。
採血に関連するリスク
PRP注入に関連するリスク
* 献血の同意説明書 (日本赤十字社) より転記
費用
それぞれの治療費用について、以下にご案内しております。自由診療のため、保険診療と比べ治療費は高額となってしまいますが、多くの患者さんへの提供を目指してなるべく安価での提供に務めております。
※PRP 調製のための採血にかかる費用、PRP 調製費用、投与にかかる費用が含まれます。
よくあるご質問
Q .どういった症状の場合、PRP療法が有効ですか?
高額な治療ですので、保険診療で治療できる場合には保険診療で治療をすることをお勧めしますが、保険診療における治療で無効であり、手術しか選択の無い患者様は一度考慮してよい治療といえるかもしれません。
変形性膝関節症についていえば、関節の健康寿命を延ばせる可能性のある治療として、スポーツ関連疾患(外傷・変性)についてはスポーツへの早期復帰や手術の回避の可能性のある治療として期待されています。
変形性膝関節症についていえば、人工関節の適応とはならない程度の重症度であり、ヒアルロン酸注射を何度も受けたが改善しない方適応となると考えております。
スポーツ関連疾患(外傷・変性)についていえば、保険診療におけるリハビリを十分行ったが改善が見られない腱の変性疾患やスポーツを行っており、捻挫や肉離れ等の症状があり、少しでも早期復帰を望む方も適応となると考えております。
Q .PRP療法は保険診療における治療と比較し、どのようなメリットがありますか?
Q .PRP療法はどの程度の期間で効果が実感できますか?
変形性膝関節症では先行する研究データによると治療後1〜2週間程度で効果が徐々に表れ始め、2か月後程度から効果が実感されてくることが示されています。ただしこれらはあくまで平均値ですので、ばらつきはあります。また、重症度や年齢等によっても効果が左右される可能性があります。
Finnoff JT et al. American Medical Society for Sports Medicine position statement: interventional musculoskeletal ultrasound in sports medicine. Clin J Sport Med. 2015 Jan;25(1):6-22.
Patrick A. Smith et al.. Intra-articular Autologous Conditioned Plasma Injections Provide Safe and Efficacious Treatment for Knee Osteoarthritis An FDA-Sanctioned, Randomized, Double-blind, Placebo-controlled Clinical Trial. The American Journal of Sports Medicine. 2016 Vol. 44, No. 4